医療機器製造における課題とは?

- 品質安定など効率化の方法をご紹介

近年、医療機器製造業界は熟練工の減少といった現状や課題に直面しています。製造業全般がそうであるように、従来の手作業からの機械化・自動化の波が押し寄せています。
手作業から機械への切り替えは、品質の安定化や生産数の増加などの効率化を生む可能性があり、ぜひ検討したい事項といえます。今回は、医療機器製造の課題や解決策についてご紹介します。

目次

  1. 医療機器とは?~製造の一般的な流れ~
  2. 実は手作業で行われることの多い医療機器製造
  3. 手作業で行う医療機器製造における課題
  4. ノードソンのソリューションで医療機器への塗布工程の高速化・安定化を実現
  5. まとめ

医療機器とは?~製造の一般的な流れ~

医療機器とは、主に人や動物の疾病の診断や治療、予防に使用する目的の機械器具を指します。

●医療機器の具体例
医療機器には、医療現場で使用される注射器やピンセット、体内に挿入するやわらかい管であるカテーテルなどの器具、ガーゼやマスクなどの医療材料、CTや超音波診断装置などの大型機器までさまざまなものがあります。
また、家庭で使用される家庭用低周波治療器やマッサージチェアなども医療機器に含まれます。

●医療機器製造の流れ
一般的に、医療機器製造は次の流れで行われます。

まず医療機器製造業者が、法律で定められた条件による製造業登録を行ったうえで設計開発を行います。その設計に基づき、部品を製造し、組立の工程に進みます。
そして製品として包装・表示を行った後、倉庫などに保管します。受注および出荷指示があり次第、出荷判定を行い、販売を行います。
最終的には医療機関などに行き渡り、現場で使用されます。

なお、医療機器の製造を行うには「薬機法」に従わなければなりません。「薬機法」とは正式には「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」と呼ばれる法律で、医薬品や医療機器などの品質や有効性、安全性を確保するために、製造・表示・販売・流通・広告といった一連の事項について細かく定めたものです。医療機器を製造する際は法に基づく対応や登録などが求められます。

●医療機器業界の課題
日本においては少子高齢化社会の進行とともに医療機器の市場が拡大していますが、課題も浮き彫りになりつつあります。まず、新技術が次々と登場することにより、グローバルで多くの企業が医療機器市場に参入しており、企業はより高い研究開発能力と製品の品質向上・品質安定が求められています。そのような中で、高い水準の医療機器を開発しつつ、費用対効果を最大化していく必要があるため、開発現場や製造現場が疲弊している状況も発生しています。また、医療機器には国や地域によって規制内容が異なり、その規制も頻繁に変化しているため、企業はその変化への対応にも追われています。

実は手作業で行われることの多い医療機器製造

一般的に、製造業の工場内における製造行程は、その大部分が機械化されているイメージがありますが、医療機器の製造現場では、手作業で行われることも多くあります。

なぜなら、医療機器は高い精密さが求められているため、長年培われた熟練工の技術を駆使した手作業による製造が必要であるためです。例えばカテーテルの製造では、管の形を整えたり、コーティング剤の塗布を細部まで行ったりするなどの細かい作業が必要です。そのため、多くの現場では手作業で行われています。

医療機器の製造工程のうち、9割ほどは熟練工が手作業で時間をかけて行っているのが実情です。

手作業で行う医療機器製造における課題

しかしながら、多くの医療機器の製造現場で行われている手作業には、次のような点が懸念されています。

●人手不足で生産数が限られてしまう
少子高齢化を背景とした労働力人口の減少による影響は、医療機器製造の現場にも及んでいます。製造現場に必要な人材が減少しているなか、特に安定した品質を担保できる熟練工の数も減少しています。希少な熟練工が急に休んだり、退職してしまったりすれば、品質や生産数を維持するのが困難になってしまいます。

今後はさらに定年退職を迎える熟練工も増えていく見通しがある一方で、培われた技術を継承すべき若手人材の確保もままならない状況があります。

そうした人手不足や後継者不足の課題が深刻になるにつれて、品質の低下は免れず、生産数も限られたものになってしまうでしょう。

●作業者によって品質にばらつきが出てしまう
医療機器製造における、接着剤やコーティング剤の塗布工程においては、まだまだ手作業で行われることが多いのが実情です。そのため、作業者による品質へのばらつきが出ているケースが多くあります。

人手による作業においては、当然、起こり得ることですが、精密さが特に重要視される医療機器製造においては、大きな課題となっています。

今後、人手不足が深刻になれば、さらに品質の安定化や維持は厳しいものとなるでしょう。

●液剤塗布量の安定化が困難
塗布工程のうち、特に液剤を塗布するシーンでは、塗布量の維持が困難なケースもあります。手作業ではスプレーを利用することが多いですが、なかなか同じ厚みで均一に塗布するのは難しいうえに、人による差も生じてしまいます。

ノードソンのソリューションで医療機器への塗布工程の高速化・安定化を実現

ノードソンのソリューションを利用すれば、医療機器製造における塗布工程について、手作業によって生じているあらゆる課題を解決することが可能です。特に、医療機器への塗布工程の高速化と品質の安定化が可能です。

●ノードソンのジェットディスペンサーとは
ディスペンサーとは、液剤をワーク(塗布対象物)に吐出する機械のことです。ノードソンのジェットディスペンサーは、医療機器へ非接触で液剤を飛ばして塗布することができるため、ワークの形状に関わらず、安定塗布と自動化を実現します。また精密な制御による微細塗布も特長です。

●なぜ医療機器製造の課題を解決できるのか
ノードソンのジェットディスペンサーが、なぜ課題を解決できるのか、詳しくご紹介します。

・塗布タクトの大幅な改善が可能
一回の塗布に要する時間「塗布タクト」の大幅な改善が可能となります。
例えば注射針3個に塗布する場合、手作業では約17秒かかるところ、ジェットディスペンサーであれば約1秒で塗布が可能です。またチューブ3本の内壁へとコーティング剤を塗布する場合、手作業では約20秒かかるところ、ノードソンのジェットディスペンサーであれば約4秒で塗布が可能になります。

このような塗布タクトの短縮化が実現できるのは、非接触式のジェットディスペンサーであるためです。接触式ディスペンサーによる塗布の場合、(1)ノズルとワークを接触させて塗布を行い、(2)液切りのためにワークからノズルを離す、という動作が必要になります。ジェットディスペンサーを使用すると、この(1)と(2)の動作がいずれも不要になるため、大幅に塗布タクトを改善することができます。

・安定塗布と自動化を実現
ノードソンのジェットディスペンサーなら、非接触技術によりワークの形状に関わらず、安定塗布と自動化を実現します。

手作業による塗布は、先述の通り、どうしても品質にばらつきが生じてしまいます。また接触式ディスペンサーはノズルに液剤残りが生じるため、ノズルに残った分が塗布されなかったり、次の塗布時に塗布量が増えてしまったりするため、塗布量にばらつきが出る恐れがあります。

ジェットディスペンサーで自動化することによって、熟練工による塗布と同等以上の品質で、一年中安定して生産を行うことができます。そのため、特定の個人に依存しない生産体制を確立することが可能です。

・微細塗布を容易に実現
ノードソンのジェットディスペンサーは微細塗布が可能です。その理由は、シャフト動作に対する精密な制御機能が備わっているためです。医療機器には小さく細かな製品も多くあり、製品の一部や隙間などに塗布するケースでは、手作業であっても精巧に塗布するのがむずかしいことがあります。

ノードソンのジェットディスペンサーであれば細かな部分への塗布が容易であるとともに、塗布量の均一化も実現するため、品質の安定化も期待できます。

まとめ

医療機器製造は、人手不足や手作業によるスピードや品質などの課題を抱えています。機械化や自動化の過渡期にある現状において、これまで培ってきた医療機器製造の技術を損なわず、よりスピードや品質を高めながら安定化させる効率的な方法を見つける必要が出てきています。

そのような課題に直面するいま、ノードソンは、最適な解決策のご提案をさせていただきます。効率的な機械化をご検討されている場合には、ぜひお気軽にご相談ください。

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