工場における包装機械のスマート化が求められる理由とは?

- ホットメルト塗布機でできること

昨今、製造業各社は社会情勢を背景とした原材料やエネルギー価格の高騰、人手不足などの課題に直面しており、業務効率化や生産性向上のために、工場のスマート化を進めています。

工場のスマート化と一口に言っても、各機械や設備によって課題や進め方が変わってくることから、機械や設備ごとの施策が求められます。今回は、製造業の中でも特に食品製造業における包装機械のうち、ホットメルトシステムでできることに絞って、ご紹介いたします。

目次

  1. 工場のスマート化が推進される背景
  2. 日本の包装機械のスマート化の現状と課題
  3. ホットメルト塗布機の課題と将来のスマート化に向けた対応策
  4. 工場のスマート化を見据えた封函・包装業務におけるホットメルト可視化例
  5. まとめ

工場のスマート化が推進される背景

工場のスマート化とは、工場内における生産ラインや製造機械といった各種設備に通信機能を持たせ、ネットワークで接続することで、生産や情報管理の効率化を図るしくみを持つ工場を意味します。

一般的に行われているのが、工場内の機械設備にセンサーやカメラ、無線機能を搭載し、製品や製造ラインのデータを収集することです。取得したデータを解析し、その結果をもとに工場運営の自動化および最適化を目指します。

スマート化が推進されている主な理由としては、社会情勢に起因する原材料やエネルギー価格の高騰や国内の少子高齢化による人手不足、技術伝承を行う後継者の不在問題などが挙げられます。

従来の工場においてもICT(情報通信技術)は活用されていましたが、非効率な側面もありました。例えば紙の帳票の記録をした後で事務所に戻ってPCに転記したり、現場でしかデータを参照できなかったり、データ分析は豊富な経験を持つベテラン技術者にしか対応できず属人化していたりするなどの状況です。

このような中、近年は人手不足の課題が深刻化しており、今後はより少ない人員で業務効率を上げ、生産性を高める必要があります。そこで従来のICTだけでなく、IoT(物のインターネット)やAI(人工知能)といった技術も取り入れながら、工場のスマート化を進めることが有効視されています。

日本の包装機械のスマート化の現状と課題

工場のスマート化の中でも、国内の包装機械のスマート化の現状と課題について確認していきましょう。

包装機械が最も多く利用されている食品製造業の現状

日本で包装機械が最も多く利用されているのは食品産業といわれています。近年は、核家族化による個別包装が促進されたことや、従来、包装できなかったものが包装可能になったことなどから、食品製造業においては包装機械の普及が拡大しています。

農林水産省の資料(※)によれば、食品製造業の出荷額が30兆円を超えており、従業員数は日本最大という巨大産業でありながら、生産性が低いといいます。そこへ人手不足という課題があり、さらに状況が深刻になっています。そのため、業務効率化と生産性向上のために、スマート化の必要性が高まっているといえます。

※農林水産省「食品製造業をめぐる情勢(令和8年4月)」

スマート化を進める上での課題

スマート化のニーズは高い一方で、食品製造業ではスマート化を進めるにあたって、いくつか課題があります。例えば、スマート化に必要なIoT機器の導入に際しては、導入や運用知識を持つ人材を獲得し、育成しなければなりませんが、人手不足により、それは容易ではありません。

また食品製造業では、IoTの導入を想定していない、長年稼働している包装機械が多く、複数メーカー製のものが採用されていることが多いと言われています。そのため、IoT化のハードルが高いのに加えて、データ収集・活用を進めようと思っても、複数の通信方式やデータ形式が存在しており、煩雑になる懸念があります。またカスタマイズを行う際にも、異なったメーカー製品同士の連携は、コストも手間も多くかかります。

こうした状況を受け、包装機械から収集するデータを標準化することで、包装機械のIoT化を進めようとする動きが見られます。

ホットメルト塗布機の課題と将来のスマート化に向けた対応策

包装機械にはさまざまな種類がありますが、そのうち、小箱や段ボール箱などを製函・封函するプロセスを担う機械があります。そのような箱のフラップ部分を接着する方法の一つとして、ホットメルト接着剤(以下、ホットメルト)が挙げられますが、ノードソンではその塗布機を取り扱っています。ノードソンのホットメルト塗布機には通信機能があり、稼働状態を可視化することができるので、さまざまな業務課題の改善につなげることができます。このような稼働状態の可視化は、工場のスマート化の一つになります。

従来のホットメルト塗布機でよく挙げられる以下のような課題は、通信接続による稼働状態の可視化によって解決につなげることができます。

【課題1】製造指示書に記載されていない設定温度の変更が行われてしまう

ホットメルトは加熱して塗布することから、塗布機においては温度設定が重要になります。

なぜなら、ホットメルトは使用温度以上に温度を上げると炭化やゲル化などの現象が起き、機械内部で詰まりを起こし、ライン停止の原因となることがあるからです。一方、低い温度では十分に溶けず必要な量を塗布できないため、製品不良を起こしてしまう恐れがあります。

そのため、製造指示書に記載されていない設定温度の変更が行われてしまうと、工場の生産性に悪影響が及ぶリスクがあります。

このようなときに、スマート化により温度データを取得し可視化できるようになると、温度設定を常に適切に保つことができ、ホットメルトの炭化劣化や不良品発生を抑制することが可能になります。

【課題2】ホットメルトの残量の確認を目視で行っており手間がかかる

ホットメルト塗布機の蓋を開けて、目視で残量チェックを行うことは手間がかかります。また、蓋の開け閉めにより、異物混入や火傷のリスクが上がります。

ホットメルトの液面レベルは1%刻みで数値化されるため、そのデータをネットワーク経由で取得・監視することで、常に最適なホットメルト残量を保った確実な運用が可能になります。

【課題3】接着剤の漏れによる材料ロスが発生してしまう

不慮の機器トラブルでホットメルトの漏れが発生し、材料が無駄になってしまうケースもあります。

このような課題については、ホットメルト流量を可視化することにより、急激な流量の増減による機器トラブルを早期に検知することが可能になります。

【課題4】高い包装品質が求められる

食品製造業においては、製品が食品であることから、包装プロセスにおいても安心安全な品質を保つために、密封性や保護性などの高い包装品質が求められます。

よって包装プロセスにおけるスマート化を進め、無人化や遠隔管理を実現することは、包装品質を高めることにつながるため、食品製造においては非常に重要な取り組みといえます。

また、食品の品質管理においては、万が一のトラブル時に原因を迅速に追跡できるしくみ(トレーサビリティ)の構築が求められます。このトレーサビリティを実現するためには、製造工程の各段階における詳細な稼働データの蓄積が不可欠です。

ノードソンのホットメルト塗布機では、封函・包装プロセスにおける稼働情報を細かく収集し、蓄積することができます。そのため随時、履歴をチェックすることで、包装品質の低下リスクが発生した際にも、早期に発見でき、品質保持が可能です。

こうした稼働状況の可視化が可能なホットメルト塗布機を活用することは、包装機械のスマート化に役立ちます。

工場のスマート化を見据えた封函・包装業務におけるホットメルト可視化例

続いては工場のスマート化を見据えた封函・包装業務におけるホットメルト可視化の例をご紹介します。

現状の包装機の操作に関する課題

現状、包装機の操作は遠隔からではなく、作業者が本体のパネルから直接行うことが多くあります。また遠隔操作パネルを使用している場合でも、「準備OK」や「異常発生」など最低限の情報の取得や入力ができるだけといったケースも少なくありません。

通信機能の導入と稼働状況の可視化で解決できること

通信機能を導入することで、包装機本体のパネルから直接、温度やエア圧などの設定変更を一括して行えるようになります。
なかでも最も大きなメリットは、詳細な稼働状況のデータを制限なく取得・可視化できる点です。これにより、温度や圧力の数値を手書きで日報に記録していた場合は、その作業そのものの自動化が可能になります。特に、医薬品や食品の製造ラインでは、GMP(適正製造規範)に基づいた製造工程の衛生管理や品質管理、記録の作成や保管が厳格に求められるため、この自動化は大きなメリットをもたらします。包装・梱包ラインでの記録作業の手間を省きつつ、ヒューマンエラーを防いで正確なデータ蓄積ができるため、品質管理やトレーサビリティの向上に大きく寄与します。
また、トラブル発生時の対応もスムーズになります。例えば、タンク内のホットメルト残量低下やエラーが発生した際、現場へ向かう前に遠隔で状況(データ)を把握できるため、現場での復旧作業に素早く的確に当たることができます。

さらに付加的な機能として、生産ラインの型替え等で温度変更が必要になるケースにおいては、設定値をレシピ化しておくことで、パネルからの呼び出しによるスムーズな切り替えも可能です。

まとめ

工場における包装機械のスマート化は、日本の包装機械の多くの割合を占める食品製造業での採用に期待がかかっています。今回ご紹介したように、ホットメルト塗布機の稼働状況の可視化は、工場のスマート化の一つになります。

ノードソンのホットメルト塗布機である「ProBlue®Flexメルター」は、通信機能を持ち、ホットメルトの実温度や液面レベル、ポンプ、流量の可視化とレシピ管理を実現することから、工場のスマート化に寄与します。メルターを包装機のPLC管理画面に統合でき、数値によるレシピ管理が可能になります。

詳細に関しては、ぜひサービスページをご覧ください。

「ホットメルトの可視化」を実現するProBlue®Flexメルター