SDGsに貢献
- 製造時にできる食品ロス対策とは
そこで今回は、事業者が食品ロス削減に取り組むことによって、どのようにSDGsへ貢献できるのかとともに、製造時に達成できる食品ロス対策をご紹介します。
目次
食品ロスの現状
食品ロスとは、まだ食べられるのに廃棄される食品のことを指します。食べるものに困っている世界中の人々のことを考えると「もったいない」という問題はもちろんのこと、環境や経済にも悪影響を及ぼします。
日本における食品ロスは522万トン(※農林水産省および環境省「令和2年度推計」)にも上り、世界中で飢餓に苦しむ人々に向けた世界の食料支援量の年間約420万トン(2020年)の1.2倍に相当します。
食品ロスは、事業活動を伴って発生する「事業系食品ロス」と、家庭から発生する「家庭系食品ロス」の2つに分けられます。2020年の統計によれば、事業系食品ロスは275万トンで全体の53%、家庭系食品ロスは247万トンで全体の47%であり、事業系食品ロスのほうがやや多い状況です。
事業系食品ロスの業種別内訳は、「食品製造業」が23%と最も多く、次いで「外食産業」が16%、さらに「食品小売業」11%、「食品卸売業」2%と続きます。
事業系の食品ロスは規模が大きいことから、企業努力で食品ロス削減を実施していかなければなりません。特に食品製造業の食品ロスは問題になっており、すでに多くの取り組みが行われています。
食品ロス削減でSDGsに貢献
食品ロスは、地球や人類にさまざまな悪影響をもたらします。どのような分野で、どのような問題点があるのか確認しておきましょう。
●食品ロスがもたらす影響
食品ロスは、飢餓をはじめとした食料問題、環境、経済の大きく3つに悪影響を及ぼします。
・食料問題への影響
国連報告書(※2022年版「世界の食料安全保障と栄養の現状」)によると、世界で飢餓の影響を受けている人の数は、2021年は8億2,800万人いるといわれています。新型コロナウイルス感染症の感染が拡大する前の2019年と比較して1億5,000万人増加し、より深刻化しています。
特に問題視されているのは、先進国と発展途上国の食料の不均衡です。先進国では日々、食べるものに困ることはほとんどなく、むしろ余っては捨てている現状があるなか、発展途上国によっては日々、食料不足に直面しており、飢餓や栄養不足の危機にさらされているところもあります。食品ロスは、この食料不均衡、および、飢餓や栄養不足の要因となっています。
・環境への影響
食品ロスが大量に発生しているということは、その分、大量に廃棄されているということです。廃棄する過程では、運搬、焼却時に大量のCO2が発生します。また、廃棄物を埋め立てる際には温室効果ガスの一つであるメタンガスが発生することから、CO2と同様に問題視されています。
食品ロスは、ただ食品を無駄にするだけでなく、CO2やメタンガスの排出により、地球温暖化を進行させる一つの要因となっています。
・経済への影響
食品ロスが大量に発生することは、経済へも悪影響をおよぼしています。まず食品ははじめから廃棄されることが決まっていたわけではなく、当然、しかるべき生産や加工、流通の工程を踏んだはずです。そのすべての工程にかかったコストと無駄になり、さらに廃棄するとなれば、当然、廃棄のためのコストが発生します。
これらの生産コストと廃棄コストを削減することで、無駄なコストが削減でき、異なる用途で利活用できます。
●食品ロス削減によりSDGsの目標12に貢献
食品ロスを削減することでSDGsに貢献できます。SDGsは、国連サミットにて採択された2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標であり、17の目標(ゴール)と169のターゲットから構成されています。食品ロスを削減することは、すなわち、持続可能な社会をつくるためへの寄与であり、SDGsに貢献することになります。
●SDGs目標12「つくる責任 つかう責任」とは
目標12では、持続可能な生産消費形態を確保するというテーマが掲げられています。これは限りある地球資源を守るため、生産と消費のバランスを形成することを目標とするものです。具体的には、食品ロスやエネルギー資源の枯渇問題に焦点が当てられています。
目標12に掲げている、11個のターゲットのうち、12.3には「2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食品ロスを減少させる」と述べられています。また、廃棄物による人の健康や環境への悪影響を最小化するためのターゲットもあります。食品ロス削減への取り組みが、目標12への貢献につながります。
製造時に食品ロスの原因となること
●塗布工程における不要な箇所への材料の塗布
食品製造工程のうち、食品に油や調味料、糖液、ソースなどの材料を塗布する工程ではスプレーなどを用いて塗布することが多いですが、不要な箇所へ材料が塗布されることで、材料や不要な箇所の部分がすべて廃棄されることになります。これも食品の無駄であり、食品ロスの一つといえます。
●コーティング工程における材料の飛散
食品には、チョコレートなどの材料のほか、食品を保護する目的の液剤などをコーティングすることもあります。そのコーティング工程において、スプレーによる塗布の際、周りに食品の材料が飛散してしまうことも多くあります。飛散した分を回収できなければ、廃棄物となり、食品ロスとなってしまいます。
●鮮度が維持できないことによる廃棄
食品を製造した後、鮮度を維持することは欠かせませんが、そこで役立つのが食品包材です。しかし食品包材に適切なものを選ばなければ、鮮度の維持が十分に行えず、結局廃棄されることになってしまいます。その結果、食品ロスにつながります。
ノードソンのソリューションで食品ロス対策が可能
食品製造現場では、先述の通り、食品ロスの課題が複数あります。ノードソンでは、それらの課題を解決するソリューションをご提案しています。
●エアレススプレーで無駄・飛散を防ぐ塗布を実現
ノードソンのエアレススプレーは、従来のエアスプレーと比較し、材料の飛散が少ないのが特長です。そのため、不要な箇所への塗布や周囲への飛散を減らし、食品ロスを削減できます。
【事例】
・コーンアイスへのチョコレート塗布では、製品への塗着効率が上がり材料コストを削減するとともに、廃棄量削減を実現しました。
・香料入りシロップ等の調味料をスポンジ生地に塗布する際、狙ったところに的確に塗布することができ、飛散を防ぐことが可能になりました。
ノードソンのエアレススプレーは、その他にも塗布効率の改善や材料・廃棄コスト削減、量産ラインでの品質の安定化を実現するといったメリットもあります。
●鮮度を長く保つ食品包材の製造にコストメリットを創造する「Prodigi™」
ノードソンでは、押出フィルムおよび押出コーティング成形を行うダイにより、食品包材をはじめとした包材フィルムの高品質な成形を行っています。「Prodigi™」は全てダイの厚み調整をコンピューター制御によって行うため、手動によるフィルムの偏肉調整が不要です。これにより、高価な包材原料の使用量を最小化し、食品包材を高速かつ安定した品質で連続成形することができます。食品の鮮度を長持ちさせ、食品ロスの削減にも貢献する食品包材の製造を効率化します。
まとめ
食品ロスは、食料問題や環境、経済に悪影響をもたらすことから、食品に関わるすべての事業者にとって対応が急務となっています。その対応はSDGsの目標達成への取り組みにも寄与します。
ノードソンのソリューションにて、食品ロス削減のお手伝いをさせていただきます。ぜひお気軽にお問い合わせください。