塗装の自動化が進む理由とは?

- 塗装におけるよくある課題を解説

近年、あらゆる業界においてシステムやロボットによる自動化が進んでいますが、塗装業界においても自動化が行われています。その背景にはどのようなことがあるのでしょうか。塗装現場におけるよくある課題から探ります。

また塗装の自動化のメリットは多数あるため、確認しておきましょう。また、有効な塗装システムもご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

目次

  1. 進む塗装の自動化 その背景とは?
  2. 塗装の自動化とは?
  3. 塗装現場におけるよくある課題
  4. 塗装の自動化のメリット
  5. まとめ

進む塗装の自動化 その背景とは?

塗装は現在、あらゆる業界で行われていますが、近年自動化が進んでいます。

国内の生産年齢人口の減少を背景に、労働力不足は年々深刻化しています。特に製造・建設現場では深刻な課題となっていることもあり、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)、ロボットなどを導入することによってスマート化による省人化や省力化が進められています。

特に製造業における塗装業務に注目してみると、高齢化や若者の塗装業離れ、建設需要の増加による労働力不足などが課題となっています。このような現状から、塗装の自動化も積極的に進められています。

塗装の自動化とは?

塗装の自動化は、具体的には塗装ロボットや塗装システムによって行われています。

塗装ロボットとは、産業用のロボットアームに塗装用のスプレーガンなどを取り付けたもので、人がスプレーガンやハケを使って塗装していた工程を、ロボットが代わりに行うための機械全般です。

塗装ロボットには、ロボットアームの仕組みから、さまざまな種類があります。

塗装ロボットの種類やメリットについては、下記のコラムで詳しくご紹介しております。ぜひご覧ください。

【関連リンク】
塗装ロボットの種類やメリットをご紹介

また塗装システムやソリューションという形態もあります。ロボットアームは持たず、これらは塗装を自動化する機器となります。

塗装現場におけるよくある課題

多くの塗装現場においては、次のような課題に直面しているといわれています。

●塗装品質の低下など
現場に人が少なかったり、高齢化が進んでいたりすることにより、どうしても塗装品質の低下や塗装工事の遅延などの課題が生まれてしまいます。原因としては人手が足りないことによる業務量増しが考えられます。塗装品質の低下が続いてしまうと、早かれ遅かれ、事業の継続にも懸念が生じてしまいます。

●労働環境の悪化
業務量が増加し、一人当たりの業務量が増すことにより、労働時間が自ずと長引いてしまいます。身体的な健康が損なわれる恐れがあるほか、ストレスもその分、増大すると考えられることから、メンタル面においても懸念が生まれます。

また、塗装の現場特有の問題として、塗料の有機溶剤による人体への悪影響がある懸念があります。有機溶剤に含まれるVOC(Volatile Organic Compounds)は蒸発しやすく、大気中で気体となる有機化合物の総称で、大気汚染につながる浮遊粒子状物や光化学スモッグの原因物質とされています。

このような理由により労働環境が悪化することで従業員の定着率が低下し、業界全体の人材不足がさらに深刻になるという悪循環に陥ってしまいます。

●熟練工の高齢化に伴う技術伝承の困難さ
熟練工が高齢化することで、技術伝承がままならないまま引退してしまうことになれば、以後の技術を守っていくことが困難になってしまいます。いくことが貴重な技術を後世に残していくためには、何か対応策を早急に取る必要があります。

塗装の自動化のメリット

塗装の自動化は、塗装の課題を解決に向かわせてくれます。具体的に、どのように寄与するのかをご紹介します。

●塗装工程の効率化・スピード向上
塗装の自動化、塗装工程の効率化やスピード、向上につながります。塗装を自動化するロボットやシステムは24時間稼働することができるため、その意味でも、効率化や納期の短縮などが可能になります。

●塗装品質向上
ロボットやシステムに一定の動作を設定することから、人が行うように、時と場合や人員によって品質に差が出ることはありません。常に同一の動きによって安定した品質を確保できるのもメリットといえます。
特に塗装にムラがなく均一に塗装できることから、従来、熟練が必要とされてきた工程にも希望が見出されています。

●複雑な形状の塗装に対応
塗装の対象物の中には、複雑で入り組んだ形状で、手作業では塗布が困難であるケースも少なくありません。そのような場合は、従来熟練の技術が求められてきましたが、塗装ロボットであれば、入り組んだ場所でも問題なく塗装が可能になります。

●ロボットやシステムへの代替で人体への悪影響を低減
有機溶剤の人体への悪影響は、ロボットやシステムへの代替によって回避することができます。

塗料から揮発する物質のほか、塗装工程で塗料が飛散する場合にも、人に代わってロボットやシステムが担うことで、避けることができます。

粉体塗装システムであれば、尚更メリットがあります。粉体塗装とは、パウダーコーティングとも呼ばれ、顔料や樹脂、添加剤などをあらかじめ粉末状に砕いた粉体を塗料として塗装する方法です。粉体塗装では粉末状の塗料を、対象物に静電気や熱を利用して付着させた後、焼付乾燥させることで塗装を行います。

粉体塗装は溶剤を使用しないため、そもそもVOCの排出がありません。そのため、より従業員の健康を守ることにつながりますし、環境負荷の心配もありません。

また従来、従業員が行っていた危険を伴う塗装工程も、ロボットやシステムに任せることで、従業員の安全を守ることも可能です。

>【関連コラム】粉体塗装とは

●熟練工の技術を再現できる
ロボットやシステムは、熟練工の技術を再現できたり、その技術を超えたりすることができる場合もあります。もし再現できれば、技術伝承の課題を解決できます。

ロボットの場合には、ティーチングにより熟練工の技術を学習させることができるので、技術伝承という意味ではより課題解決に寄与すると考えられます。

まとめ

塗装業界においては、人手不足が大きな課題となっていることを背景に、塗装の自動化は急務となっています。今回ご紹介したように、塗装の自動化は数多くのメリットがあります。また課題を解決する要素が豊富にあることから、ぜひ自動化は積極的に進めていくことをおすすめします。

ノードソンでは、粉体塗装システムによってお客様の課題解決をご提案しております。

ノードソンの粉体塗装システムを利用することで、生産性の向上と環境対応につながります。

もし自動化したいけれど、現状設備の見直しや間取りの変更などがむずかしいとお考えの場合も、ノードソンなら、お客様の要望や環境にあわせて塗装の自動化をオーダーメードで提案を行います。導入だけでなく生産性の向上も視野に入れたご提案をいたしますので、ご安心ください。

また自動化することで省人化が可能になる上に、複雑な形状でも正確な塗布が可能な高精度なシステムであるため、品質面でも安定した生産が可能になります。

ノードソンの粉体塗装システムでは高密度低速搬送技術を採用し、より多くの粉体をより少ない圧縮エアーで吐出することで、高い塗着効率と材料の削減を実現します。色替え時間の短縮化にも寄与します。

ご興味のある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

>【関連コラム】粉体塗装(パウダーコーティング)とは – メリットと環境配慮に最適な理由

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