スプレーガンの種類

- エアスプレーとエアレススプレーの仕組みを解説

スプレーガンは従来、自動車などの塗装分野でエアスプレーが多く利用されてきましたが、近年は、スプレーガンの利用の幅や種類も広がり、さまざまな業界において洗浄や食品コーティングなどにも活用されています。今回は、スプレーガンの種類の中でも、昨今の主流となっているエアスプレーとエアレススプレーの違いや、食品コーティングなどの活用事例をご紹介します。

目次

  1. スプレーガンとは? 種類もご紹介
  2. エアスプレーとエアレススプレーの違いとは?
  3. 食品業界が持つコーティングへの悩みとは?
  4. エアレススプレーを活用した課題解決事例をご紹介
  5. メリットが豊富なノードソンのエアレススプレーをご紹介

スプレーガンとは? 種類もご紹介

スプレーガンとは、圧縮した空気を利用し、塗料などの液体を霧状にして、スプレーすることによって吹き付ける塗装機の一種です。「ガン」という名の通り、ピストルに似ている形状をしています。使い方は、引き金部分を引き、霧状に出てくる塗料を対象物にスプレーします。霧の形状を表す「パターン」を調整することができ、細かい箇所から平面や広い面積まで塗布できます。

スプレーガンは主に、自動車や外壁、フェンス、家具などの塗装に使用されてきましたが、近年は塗装だけでなく、潤滑油や錆び止め剤の塗布、水による洗浄・加湿・冷却、食品のコーティングや容器への充てんなど様々な用途で活用されています。

●スプレーガンの種類

スプレーガンの種類には、仕組みや特徴が異なるエアスプレー、エアレススプレー、HVLPスプレー、静電スプレーなどがあります。

・エアスプレー

エアスプレーとは、コンプレッサーで加圧された空気を、塗料に直接当てることで塗料を霧状にして吹き付けるタイプです。

・エアレススプレー

塗料に直接圧力をかけ、スプレーガンの吹出口にノズルを使用して小さく絞ることによって霧状にするタイプです。

・HVLPスプレー

HVLP とは、「High Volume Low Pressure(温風低圧塗装機)」の略で、低圧で大容量の空気を用いて、塗料等を霧状にして吹き付けるタイプです。エアスプレーのデメリットである塗料の飛散を抑えることができます。

・静電スプレー

静電気力によって塗料等を付着させるタイプです。スプレーガン先端部に高電圧をかけ、塗料等の粒子をマイナス極に帯電させます。その後、プラス極の対象物に対して、塗料等を電気的に吸着させるタイプです。

・スプレーガンの口径

スプレーガンの口径は小さければ小さいほど微細な塗布に向き、大きければ大きいほど広い範囲を一度に塗布することができます。塗装目的に応じて適したノズル口径のものを選択します。
一般的なサイズだと、小型スプレーガンではφ1.2~1.0mm以下の小口径のもの、大型スプレーガンではφ1.5mm以上の大口径タイプが多く設定されます。

エアスプレーとエアレススプレーの違いとは?

今回は、食品や製品のコーティング等でよく使われるエアスプレーとエアレススプレーの違いを詳しくご紹介します。

●エアスプレーとエアレススプレーの原理の違い

エアスプレーとエアレススプレーの原理の違いとして、エアスプレーは空気(エア)で塗料などの液体に対して、直接エアを当てて霧状にするのに対して、エアレススプレーは塗料などの液体にはエアを当てず、吹出口を狭く絞り圧力をかけることで、液体を霧状にします。水道にホースをつなぎ、ホースの先端を指でつまむと水がしぶき状になるのと同じ原理です。

●エアスプレーとエアレススプレーのメリット、デメリット

エアスプレーとエアレススプレーそれぞれのメリットとデメリットを見ていきましょう。

【エアスプレーのメリット】

・霧化した塗料などの材料は粒子が細かいため、塗りムラなくなめらかできれいな仕上がりになる。
・比較的、設備費が安価で済む。

【エアスプレーのデメリット】

・塗着効率が25-50%程度と低めで、エアレススプレーと比較して作業効率が低い。
・美しく仕上げるために、塗料などの材料の粘度を低くする必要があるため、他の塗装方法より塗膜は薄くなる。
・塗料等が多く飛散するため、無駄が発生してしまう。

【エアレススプレーのメリット】

・塗着効率が60-90%程度と高めで、エアスプレーと比較して、作業効率が高い。
・高粘度の塗料等を使えるため、塗膜を厚くできる。
・対応可能な塗料等の種類が豊富。
・エアスプレーに比べて、塗料の飛散が少ないので、塗料の無駄を減らしコストダウンできる。

【エアレススプレーのデメリット】

・エアスプレーより塗料等の粒子が粗いため、美しく仕上げるのに技術が必要。
・吐出量が多いため、スピードが遅いとタレなどの塗装不良につながる。

食品業界が持つコーティングへの悩みとは?

スプレーガンは、食品業界でも使用が進んでいます。その背景には、次のようなコーティングに関する課題があります。

●液体を均一に分散塗布するのが難しい

例えばケーキを製造する際に、チョコレートをケーキの表面に吹き付けたい場合、均一に分散塗布するのが難しいという課題があります。

●液体の飛散が多く、無駄が発生してしまう

チョコレートやシロップなどのスプレー塗布を行う際に、液体の飛散が大きいと周囲に広がってしまい、材料やコストの無駄が発生してしまいます。

●不要な箇所に塗布してしまう

効率の良くないスプレー機器を使用してしまうと、不要な箇所へ塗布してしまい、うまく製造できなかったり、材料の無駄が発生してしまったりします。

エアレススプレーを活用した課題解決事例をご紹介

食品業界の課題は、エアレススプレーを導入することで、解決した事例が多くあります。ここでは3つの課題解決事例をご紹介します。

●コーンアイスへのチョコレート塗布

コーンアイスの内側にチョコレートを塗布して、薄いチョコレートの層を作りたいという要望がありました。独自の方法で塗布していたものの、コーンの底までしっかりとチョコレートを塗布することが難しく、塗布膜のエッジがシャープではないため、見た目が良くない点が課題でした。
そこでエアレススプレーを導入したところ、コーンアイスへの塗着効率が上がり、コーンの内側全体に、底まで均一に塗布することに成功しました。チョコレートの飛散も少なく、材料コスト削減につながった上に、仕上がりの見た目も向上しました。

●香料入りシロップの調味料塗布

パンケーキなどのスポンジの表面に、香料入りシロップを均一に塗布したいという要望がありました。独自の方法で塗布していたときには、材料の飛散が多く、生産環境が汚染されてしまう上に、塗着量にバラつきがあり、後工程での品質に影響する点が課題でした。
そこでエアレススプレーを導入したところ、狙ったところに的確に塗布することができるようになったことで、飛散を防ぐことができ、重量管理も可能となり、製品品質が安定しました。

●調味料ボトル内側への潤滑油塗布

マヨネーズなどの調味料は、使用していくとボトル内部に調味料が残留し最後まで使いきれないという課題がありました。そこで調味料ボトルの内側へ、潤滑油を塗布することを検討しました。エアレススプレーを使用して潤滑油を適量塗布することで、ボトル内に残留する材料削減につながりました。

メリットが豊富なノードソンのエアレススプレーをご紹介

今回ご紹介した上記の課題解決事例は、すべてノードソンの導入実績になります。

ノードソンのエアレススプレーは、次の特長があります。

●高い塗布効率

エアレススプレーは、エアスプレーと比較し、塗布効率の改善が見込めます。必要な範囲にだけ正確に、少ない材料で均一に塗布ができるため、食品へのコーティングの際に材料コストの削減につながります。

●1,000種類以上のノズルをご用意

1,000種類以上もの多様なノズルを取り揃えているため、ノズルチップの変更のみで、使用する材料や塗布したい形状、量に合わせた塗布が可能です。

●パルススプレー技術(高速応答性)

高速でON/OFFが切り替わるスプレーガンと、コントローラーの組み合わせにより、塗布量の管理を簡単に行うことができるパルススプレー技術を搭載しています。高速での塗布作業が可能となり、ノズル詰まりも少なくなります。

食品コーティングには、ノードソンのエアレススプレーがおすすめです。より詳細な特長についてお知りになりたい方は、ぜひ製品紹介ページをご覧ください。

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