塗装ロボットの種類やメリットをご紹介

製造業の製造工程において、「塗装」は特に重要な工程です。塗装には、製品の保護や製品価値向上などのメリットがあります。近年、テクノロジーの進化と人材不足を背景に、塗装工程の各所でロボットによる自動化が進んでいます。今回は、その塗装ロボットの概要や種類、メリットなどをご紹介します。

目次

  1. 塗装ロボットとは
  2. 塗装ロボットのメリット・デメリットとは
  3. 塗装ロボットの種類をご紹介
  4. 塗装ロボットの活用は建材分野でも
  5. ノードソンの粉体塗装システムで高精度な塗装を実現
  6. まとめ

塗装ロボットとは

塗装ロボットとは、産業用ロボットの一種で、ロボットアームにスプレーガンなどの、塗装を行える器具が装着されているものを指します。

人がスプレーガンや刷毛(はけ)、ローラー等を用いて塗装を行っていますが、その人手による作業を代替したのが塗装ロボットです。

従来から活用が進んでいる自動車製造における自動車本体および自動車部品の塗装のほか、近年は建機や建材、家具や日用品などさまざまな製造現場で塗装ロボットの導入が進んでいます。

普及の背景としては、昨今の製造業界の人材不足による省人化の課題解決が急務となっているとともに、テクノロジーの発展やスマートファクトリーの実現、DX推進など自動化・IoT化などの流れもあります。

塗装ロボットのメリット・デメリットとは

塗装ロボットにより、人が行っていた塗装作業を代替し、塗装吹付を自動化することで、さまざまなメリットが得られます。一方、デメリットもあります。ここからは、メリットとデメリットについてそれぞれ解説いたします。

メリット

●複雑な形状の塗装に対応できる
塗装ロボットは、熟練者が長い時間をかけて行っていた複雑な形状への塗装も、スピーディーかつ正確に実施することができます。細かく入り組んだ部分の塗装でも、人の腕と同様の動きができる塗装ロボットもあるため、柔軟に対応が可能です。

●品質・生産量が安定する
塗装ロボットを活用することで、塗装工程の品質と生産量が安定します。なぜなら、塗装ロボットはムラのない一定の品質の塗装を何度でも正確に遂行できるからです。一定の品質を保ちながら、スピーディーに作業を実施できるので、人手で行う際と同じ時間でもより多くの生産を行うことができます。また、塗料の消費量についてもばらつきがなく、無駄もないため、コスト削減にもつながります。

●作業者の安全と健康に配慮
塗装ロボットを導入することで、作業者の安全と健康に配慮することにつながります。そもそも塗料には人体にとって有害な有機溶剤を使用することが多く、飛散することのある塗装現場は非常に危険です。塗装ロボットが作業を代替することで、作業者の健康リスクを減らすことができます。さらに、足場のよくない屋外の作業などを塗装ロボットが代替すれば、より安全に作業を行うことが可能です。

デメリット

●作業スペースを取る
塗装ロボットを導入する際には、当然のことながら、設置スペースが必要です。ロボット本体と周辺設備の大きさに応じた環境作りが求められます。複数台を設置する際は、ロボット同士が衝突しないよう調整する必要もあります。作業者が他の作業に従事している場所に近い、といった場合は、安全柵の設置が必要となることもあります。

●ティーチング作業が必要
塗装ロボットを動かすためには、事前に意図した動作をロボットに指示しなければなりません。それをティーチングと呼びます。ティーチングは時間を要するほか、専門知識を要するため技術者が必要です。

塗装ロボットの種類をご紹介

塗装ロボットには複数の種類があり、主に次の3種類が導入されています。それぞれどのような特徴があり、どのようなケースに適しているのかご紹介します。

●垂直多関節ロボット
垂直多関節ロボットは、いわゆる人間の腕がロボットになったかのようなイメージを想像するとわかりやすいでしょう。垂直方向に回転する多数の関節を持つロボットです。人間の腕のように、3次元に、自由度の高い動きができます。塗装の熟練者が行うのと同様に、入り組んだ箇所の塗装作業も再現できます。
産業用ロボット全般において、垂直多関節ロボットは、汎用性が高いことから多く導入されています。

●水平多関節(スカラ)ロボット
水平多関節(スカラ)ロボットは、人間の腕のようなアームがついていますが、水平方向にのみ動きます。水平方向に高速に腕を動かすことができるので、平面に対する塗装に適しています。ただし、動くのは水平方向のみという制限はあります。

●直角座標ロボット
直角座標ロボットは、3軸が交わるスライド軸によって構成されているロボットです。アームは、3方向に動作させることができます。3次元にアームを動かせる垂直多関節ロボットと異なり、直角座標ロボットは複雑な動作ができないため、単純な形状への塗装であれば対応可能です。シンプルな動作に限られる一方で、動作精度は高いのが特徴です。

塗装ロボットの活用は建材分野でも

塗装ロボットといえば、日本国内では主に自動車や工業製品の塗装に導入されていました。しかし海外では他の分野にも導入が進んでおり、近年、日本でも建材分野における導入も見られるようになりました。

例えば、外壁や室内の壁面塗装や建材の一部の塗装など多様な用途で塗装ロボットが活躍し始めています。

塗装ロボットの導入により、製造現場全体の生産効率を高め、作業者の負担を抑えることが可能です。また塗装効率の改善も可能であることから、コスト削減につながります。

多くのメリットがあることから、今後さらに建材分野においても塗装ロボットの導入が進んでいくものと考えられます。

ノードソンの粉体塗装システムで高精度な塗装を実現

ノードソンでは、塗装ロボットのアームに装着するスプレーガンを取り扱っています。そのスプレーガンの塗装方式には、「粉体塗装」という粉体の塗料を塗布する方式を採用しています。

>建材への粉体塗装
>【関連コラム】粉体塗装(パウダーコーティング)とは – メリットと環境配慮に最適な理由

ノードソンのロボットスプレーガン:Encore Robot Powder Coating Spray Guns | Nordson

ノードソンの粉体塗装システムを用いることにより、高精度な粉体塗装を実現できます。また、色替えにかかる時間や手間を削減するほか、生産効率を改善し、環境問題への配慮も実現するなど、複数のメリットが得られます。

●HDLVテクノロジーシステムなら塗着効率が高く、メンテナンスが容易
ノードソンの粉体塗装システムには、HDLVテクノロジーシステムという高密送技術を採用しています。これにより、より多くの粉体をより少ない圧縮エアで吐出することができるため、高い塗着効率を実現します。複雑な箇所にも簡単に入り込むことができるので、精密な塗装も可能です。さらに色替え速度の高速化による生産性向上にも寄与するほか、構造上、メンテナンスが容易であるというメリットもあります。

●粉体塗装への切り替えでVOC対策も実現
粉体塗装は、従来の有機溶剤を含む液体塗料を塗布する塗装と比較し、VOC(揮発性有機化合物)対策が可能です。日本の建材分野においては、有機溶剤や液体を使用した塗装が一般的となっているため、人体や環境への影響が懸念されています。
粉体塗装では、顔料や樹脂、添加剤などをあらかじめ粉末状に砕いた「粉体」を塗料として塗装するため、有機溶剤を使用しません。つまり液体塗装から粉体塗装に切り替えることでVOC対策といった環境問題への対応が可能となります。

【事例】
液体塗装から、ノードソンの粉体塗装システムに切り替え、環境にやさしい作業環境を実現した企業の事例があります。結果、塗料コストは50%削減でき、さらにリワークと品質関連のコストを70%削減することに成功しました。

ノードソンの粉体塗装システムについての内容は、ぜひ下記のサービス詳細ページでご確認ください。

まとめ

高精度な塗装を行うには粉体塗装システムが最適です。液体塗装からの切り替えにより、生産効率を改善すると同時に環境問題への対応も可能にすることは、大きなメリットといえます。切り替えの際には、ノードソンの粉体塗装システムをぜひご検討ください。

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