省エネが進む製造業~省エネのポイントや事例をご紹介

製造業における省エネルギー化は、環境配慮と経営効率の両面から注目を集めており、多くの現場で取り組みが加速しています。
省エネを推進するためにはさまざまな方法がありますが、それぞれの現場や環境に合わせた取り組みが重要になってきます。今回は製造業における省エネ推進の背景、主な手法や実践事例、そして成功させるポイントをご紹介します。

目次

  1. 製造業で省エネが進む背景
  2. 製造業における省エネの手法
  3. ノードソンが支援する省エネ化事例
  4. 製造業が省エネを成功させるポイント
  5. まとめ

製造業で省エネが進む背景

製造業では昨今、省エネへの関心が高まっています。その背景には、主に次のようなことが挙げられます。

●エネルギー資源の枯渇
製造業の生産現場で欠かせないエネルギーである石油や天然ガス、石炭等の化石燃料を中心とした資源の枯渇が予測されています。化石燃料の消費の高まりにより、将来の世界的なエネルギー資源の枯渇が深刻な問題となってきています。省エネの推進は、これらのリスクを軽減させ、少しでも枯渇の進行を遅らせることに繋がります。

●温室効果ガス排出量の低減のため
温室効果ガスの排出による地球温暖化の加速は、世界的な問題となっています。製造業のようなエネルギーを多く消費する産業が化石燃料を大量に燃やすことで、特にCO2の排出量が増大しているといわれています。省エネへの取り組みは、CO2の排出を抑え脱炭素社会を実現するための具体的施策として、重要性を増しています。

●原材料費・燃料費の高騰および不安定な供給
昨今、戦争などの国際情勢を背景として、世界のエネルギーを取り巻く情勢は大きく変化しており、特にエネルギーの安定供給やコストの面で大きな影響が出ています。

製造業にとって、原材料費・燃料費の高騰やエネルギーの不安定な供給が生産スケジュールや販売価格にも大きく影響するため、非常に大きなリスクとなります。その対策の一つとして省エネが重要視されています。

原材料の価格や供給の安定性は当面先が見えない状況となっており、今後価格はさらに高騰していくとの見方もあることから、本格的に省エネへの投資や省力化技術の導入に踏み切るケースも生まれています。

製造業における省エネの手法

製造現場で実践されている、主な省エネの手法をご紹介します。

●再生可能エネルギーの導入
化石燃料が枯渇・高騰している中、再生可能エネルギーを導入することは省エネにおいて重要な取り組みといえます。特に注目されている方法が「自家消費型太陽光発電」です。

これは工場等の屋根に太陽光パネルを設置して、太陽光で発電した電気を自ら工場で使う方法です。これにより大幅な電力コストの削減とCO2排出量の削減を実現できます。

●エネルギー監視・可視化
エネルギー使用量を生産ラインごとに監視して、工程を可視化する手法です。IoT技術と連携したエネルギー監視システムによって、設備の稼働状況や電力の消費状況をリアルタイムで把握することで、改善点を特定し、工程の最適化を図ることができます。

●機械設備の導入によるエネルギー消費の制御
機械設備によりエネルギー消費を制御する仕組みを導入する方法があります。例えば、ボイラーに排熱回収装置を導入して排熱をうまく利用するといった方法があります。

●既存設備の変更・改修
古いエネルギー消費の高い設備を省エネ性能の高い機器に更新することで長期的なコスト削減や持続可能性が実現できます。わかりやすい例で言えば蛍光灯をLED照明へ代替するといった方法です。

●歩留まり改善など生産性向上による省エネ
投入した原材料数に対して、完成した生産数の割合を指す歩留まりを改善することで、生産性やエネルギー効率が高まることがあります。無駄な生産工程をなくし、精度の高い機器や設備や自動化技術を導入するといった方向性からも省エネは可能になります。

ノードソンが支援する省エネ化事例

ノードソンは、省エネと生産性向上を両立する様々なソリューションを提供しています。以下に、具体的事例をご紹介します。

●エネルギーを抑えたペットボトルラベルの接着工程
ペットボトルに原材料名などを記載したラベルフィルムを装着する際に、従来の方法ではボトルにかぶせた熱収縮性フィルムをシュリンクするための加熱工程が必要でした。一方、ボトルに巻き付けた帯状のラベルに、ホットメルト接着剤を塗布機で塗布して接着する方法では、加熱が不要となり、省エネルギーを実現します。ラベルは600bpm~ という生産速度で装着可能なため、高い生産性も期待できます。

こちらはノードソンの高速間欠塗布が可能な、スロットアプリケーターであるHarmonyアプリケーターで実現可能です。

●プラスチック押出フィルム成形工程の電力削減
機能性樹脂の押出フィルム成形では、生産開始時の立ち上げや生産品種切り替えに伴うダイの調整において、規格品外の樹脂のロスや、生産の調整にかかわるダウンタイムが長年の課題でした。

従来のダイは、手動で粗調整を行い、その後、ヒーター制御による熱膨張を利用した自動調整機構による連続した微調整を行っていました。この方法では、厚み分布の収束までヒーター制御の遅れ時間が発生するため、待機中樹脂やエネルギーも無駄に消費します。また、ヒーター自動制御機構の場合、常時ヒーターに平均50%の出力が必要となり、電力を消費し続けます。

ノードソンの電動リップアクチュエーターシステムProdigi™を利用すれば、ダイの調整ボルトの手動調整が不要となり、制御に遅れ時間を発生させずに調整が可能になります。ヒーターを使用しないため、安定運用に入った後は、調整にかかわる消費エネルギーはほとんど発生しません。

さらにコンピューターにレシピを登録できる機能があることで、同一製品の生産における復元が高速で行えるため、調整のダウンタイムが削減され、生産効率の向上にもつながります。

●粉体塗装システムによる生産性向上
建材や家具・家電、什器などを塗装する際は、液体塗装から粉体塗装に切り替えることで、生産性向上を実現し、省エネにつながることがあります。
ノードソンの粉体塗装システムなら、複雑な形状の塗装も素早く行えるほか、設定通りにムラのない塗装作業を長時間遂行できることで品質・生産量が安定します。

このシステムにはHDLV® (高密度低速) パウダーポンプを採用しており、高密送技術によってより多くの粉体をより少ない圧縮エアーで吐出することで、対象物への高い塗着効率を実現し、塗料の使用量も削減できます。

●ホットメルト塗布機の通信機能活用で材料の無駄遣いや電力消費を軽減
通信機能が備わったホットメルト塗布機器を活用することで、材料使用量やエネルギーの削減を実現します。

ノードソンのホットメルト塗布機プロブルー フレックスメルターは、通信機能を活用することで、メルター、ホース、アプリケーター各部の温調ON/OFF制御はもちろん、実温度データや、ホットメルト流量の可視化ができ、履歴も残せます。ホットメルト塗布の稼働データを可視化し、運用最適化と電力消費の削減をサポートします。

また、通信機能のみならず、断熱性能を高めた最新のホースや、熱効率を高めるための断熱ジャケット、フィッティングの断熱材など消費電力削減に貢献する製品を組み合わせることで、さらなる省エネ効果が期待できます。

製造業が省エネを成功させるポイント

製造業がさまざまな取り組みを通じて省エネを実現するためのポイントをご紹介します。

●省エネを行うメリットを十分理解する
省エネは、エネルギーコスト増大などの喫緊の課題に対応するだけでなく、同時にさまざまなメリットを享受することができます。作業環境の改善、SDGs(持続可能な開発目標)への貢献、設備の長寿命化などにもつながります。これらのメリットを十分理解することで、モチベーションが上がり、より効果的な施策につながると考えられます。

●経営改革の一環として全社的に取り組む省エネ推進体制を作る
製造業の省エネ活動は、工場単位で完結するものではありません。経営方針と連動させ、全社的に取り組むことで大きな効果を発揮するでしょう。そのためには、経営改革の一環として部門横断的に省エネの推進体制を整えることが重要です。

●目標を明確に設定し、効果測定を行う
省エネを実施するにあたって、エネルギー削減の数値目標を明確に掲げ、データを活用して効果測定を行いながら実施していくことが重要です。そしてPDCAサイクルを回しながら継続的に改善を続けていきましょう。

●生産性・品質向上による省エネも検討する
省エネというと、エネルギー消費の抑制や再生可能エネルギーへの切り替えなどが主な方法として認識されていますが、生産性や品質の向上によっても実現する可能性があることに注目しておきましょう。高精度な設備の導入により、生産工程を効率化し、歩留まりを改善すると無駄がなくなり、エネルギーを効率的に使えるようになります。

まとめ

製造業における省エネは、環境保全だけでなく経営戦略の一環としてもますます重要性を増しています。ノードソンは、エネルギー効率と生産性の両立を支援する多様なソリューションを通じて、お客様の持続可能なものづくりをサポートしています。その他にも省エネ・環境対応事例については、当社の「製造業のSDGs」ページでご紹介していますので、ぜひご覧ください。

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